高血圧はサイレント・キラー。恐ろしい結末を予防するには。

高血圧とは~症状の概要

高血圧は、現在の国内患者数が約4,000万人とも言われています。


脳出血や心筋梗塞などの致命的とも言える症状が現れるまでほとんど自覚症状がないことから、「サイレント・キラー」の恐ろしい異名を併せ持っています。

健康診断で数値の異常を指摘され、はじめて自分が高血圧と気づいた・・・という方も多いのではないでしょうか(高血圧の調査・統計(日本生活習慣病予防協会))。

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血圧」とは心臓を行き来する血液が動脈壁を内側から押すときの力のことで、mmHgという単位で測られます。

心臓が収縮し大動脈が血液を押し出す作用が段階的であることから、「心臓が縮んで血液が全身に送り出され、血管が広がったときの収縮期血圧最大血圧上の血圧)」と、「血液が心臓に戻ってきているときの拡張期血圧最小血圧下の血圧)」の、2つの数値を使って測られます。


複数回の血圧測定と問診を経て、以下で説明する基準の数値に基づき、収縮期血圧または拡張期血圧が基準を超えて高い場合に「高血圧」と診断されます。


年齢・性別でみた場合、40歳代までは男性の高血圧が圧倒的に多く、女性の高血圧は50歳台から急激に増え始めます。これは女性ホルモンの減少による血管の老化などが影響しているとされます。


「なぜ、高血圧になるのか」については、いまだ確定的に解明されたわけではありません。


現時点では加齢や生活習慣の悪化・あるいはストレスなどの要因が重なることによって、血圧を上げるホルモンの分泌が過剰になったり、血圧を一定範囲に調整する機能に悪影響が及ぶためと考えられています。


自覚症状が出にくいので、自分が高血圧であることに気づかない、あるいは気づいても病院で受診しない人も、珍しくありません。


また血圧が正常範囲に戻る前に、降圧薬の服用を自己判断で中止して数値が悪化したり、あるいは動脈硬化の進行によって心筋梗塞や脳梗塞・糖尿病などの合併症を併発したりするケースも、少なくありません。


高血圧は、「本態性(一次性)高血圧」と「症候性(二次性)高血圧」に分かれます。


年齢を重ねるとともにしだいに血圧が高くなってくるのが本態性(一次性)高血圧で、高血圧の患者の約8割がこの本態性(一次性)高血圧といわれます。


ちなみに本態性(一次性)高血圧は遺伝する傾向が7割程度あるとされますので、家族に高血圧の人がいる方は30~40歳くらいから、血圧の数値に注意を払っておくべきです。

片親が高血圧の場合、高血圧がその子供に遺伝する確率は約30%、両親の場合は約50%になるという報告もあるそうです。


一方、症候性(二次性)高血圧は、腎臓や副腎など原因が明らかに他の臓器の病気によるものとわかっている場合を指します。

症候性(二次性)高血圧は原因がはっきりしているため、たとえば腎性高血圧ならば、原因となる(腎臓の)病気の治療により対処されることになります。


本態性(一次性)高血圧である場合、その原因が特定できないことから自然に治癒するということはなく、高い血圧を下げ正常な状態を長く維持することで、健康な人と同様の生活が送れるようにすることが、治療のポイントとなります。


仮に、血圧を下げるための治療を止めてしまうと、血圧はまた元のように高くなってしまいます。したがって高血圧となった場合は、どうしても治療が長期間にわたるものとなってきます。


これに対し症候性(二次性)高血圧の場合、もとの病気を治すことで血圧を正常化することができるので、高血圧と診断された場合はまずその原因を特定するべく、専門医の精密検査を受ける必要があります。


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降圧剤は治療薬にあらず

高血圧の主な治療は、「降圧剤の服用」となります。

血圧を下げるには「血管を拡張させて、末梢血管の抵抗を減らす」か「全身を循環する血液量を減らす」かの、いずれかの作用が効果的です。

代表的なものとして、前者に働きかける降圧薬には「カルシウム拮抗薬」「アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬」「アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)」、後者に働きかける薬では主に心臓の拍出量を減らす「β遮断薬」や「利尿薬」などがあります。


降圧剤はすべての高血圧患者に服用が必要とされるものではなく、また強く副作用がでる恐れもありますので、必ず医師の診断と指示にしたがった服用を行う必要があります。

1種類の薬を一日一回、少量から始めるのが高血圧の投薬治療の原則ですが、降圧剤の種類や服薬時期は症状に応じて異なるため、必ず医師の診察及び指示のもとで開始すべきです。

最近は、降圧効果が高く副作用の少ない薬も登場しています。患者の状態に応じ2~3種類の薬を併用するなど、投薬治療の選択肢も広がっています。


降圧剤は血圧を下げる効果がありますが、高血圧そのものを治癒するものではありません。よく「高血圧の薬は一生飲み続ける必要がある」と言われますが、残念ながら現実的にはそのように考えておくべきでしょう。


なぜなら降圧剤は高血圧の根本原因を取り除くわけでなく、あくまでも血圧を低く留める作用を期待して投与するものだからです。したがって大抵のケースで、服薬を止めると血圧は再び上昇してきます。

ただし例外的に、生活習慣の改善が上手くいって血圧を一定レベルに保つことができれば、最終的に服薬を止めることも可能ではあります。その場合も引き続き血圧の再上昇には注意を払い、定期的に血圧測定を続けることが必要になります。


降圧剤による投薬治療は近年、「治療の初期段階から医師の指示どおり長期的に服薬することによって、血圧が安定し得られるメリットが相対的に大きい」と考えられるようになってきています。

ただし高血圧は自覚症状が出にくいことから、どうしても降圧剤を飲み忘れたり、自分で勝手に服用量を変えたりする患者が多いため、その点で本人の自覚と注意が必要になります。


ちなみに漢方薬は体によさそうなイメージがありますが、ある種の漢方薬は逆に血圧を上げる成分が含まれているため、高血圧の予防や治療のための使用は、十分慎重に行なうべきでしょう。


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血圧の数値は、一日中変わる

高血圧



この血圧、一日を通して安定した数値を示すものではなく、一日の時間帯によって数値が変化します(ふつうは早朝時が血圧が一番高く、就寝時にもっとも低くなります)。


それ以外にも、季節による変動(一般に夏は血圧は低く、秋から冬は血圧が高めになる傾向があり、冬は夏に比べて最大で20mg程度血圧が上昇するとも言われます)や、精神的緊張・ストレス、測定条件の違い等によって、血圧が上昇することがあります。


家庭で血圧を測ったときには高いのに、病院で測定してみると正常な数値を示すという「仮面高血圧(白衣高血圧)」と呼ばれる現象も、よく知られるところです。

このため、高血圧かどうかを調べるための血圧値の測定は、通常は1~2週間の間をおき、数回測った結果によって行われます。

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医療機関における高血圧治療は、日本高血圧学会が公表している「高血圧治療ガイドライン」に沿った措置が行われています。


日本高血圧学会の定める基準値では、「最大血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上」か、「最小血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上」である場合が、高血圧に属することになっています。


2014年4月、この高血圧治療ガイドラインが5年ぶりに改定されました。

新しいガイドラインでは、これまで不一致だった降圧のための目標値が変更され、現在病院で使われている高血圧の診断基準に統一されました。


すなわち「若年・中年者高血圧」では「最大血圧(収縮期血圧)140未満、最小血圧(拡張期血圧)90未満)」、75歳以上は「最大血圧(収縮期血圧)150未満、最小血圧(拡張期血圧)90未満)」が、目指すべき努力目標値となりました。


また、医療機関で測る「診察室血圧」よりも、家庭で朝晩各2回ずつ測定する「家庭血圧」の平均値を、治療上原則として優先することになりました。

家庭で測る血圧数値の記録が、従来以上に大事なデータとして尊重されるわけですね。


家で血圧計を使って定期的な血圧測定を行う場合は、できれば血圧手帳を手もとに用意し、朝食前と就寝前の一日2回測定する時間を決めて、上下の血圧数値を記録するようにします。

血圧手帳を時々チェックすることで、ふだんの生活における血圧の傾向値を体感的に把握することができるからです。


ただし血圧数値がやたら気になって何回も測ることにより、かえって血圧が上がってしまう「血圧不安症」という症状もあるため、一日に5回も6回も測定するのは止めておきましょう。


また血圧を正しく測れるタイミングではないため、飲酒時や入浴後などは測定を避けるようにします。

アルコールの摂取により、血圧はいったん下がった後、逆に上がってきます。

正常な状態では眠りにつく夜間の血圧が一日でもっとも低くなりますが、低くならなかったり、逆に昼間より血圧が高くなってしまう「夜間高血圧」という症状があります。寝酒はこの「夜間高血圧」を定着させてしまうため、要注意です。


また医療機関で測定した血圧(診察室血圧)は、家庭ではかった血圧(家庭血圧)よりも緊張によるストレスなどから少し高く出やすい傾向がある(白衣高血圧とも呼ばれます)ことも、覚えておきましょう。


上に述べたとおり、高血圧の診断は一度測ったくらいで行うことはできませんので、このようなふだんからの血圧測定の記録を医師の診察時に持参すると、診断の貴重な参考情報となります。


高血圧の診断基準となる数値は「最大血圧」と「最小血圧」の両面から判断されていますが、より気をつけて測定すべきはどちらかと問われれば、「最大血圧」のほうです。

最小血圧は一般に加齢に伴って緩やかに下がっていくため、特定の病気の症状として高血圧が表れているような場合を除き、さほど気にしなくてよいと言われています(血圧計で数値を測る場合の最小血圧の測定値の信頼性が、最大血圧に比べると低いからという理由もあります)。


最大血圧から最小血圧をマイナスした数値を「脈圧(みゃくあつ)」と呼びます。


脈圧も最大血圧と同様、一般に加齢に伴って数値は上昇していきますが、もし「最大血圧が140以上のときの脈圧が65以上」となっていたなら、すでに動脈硬化が進行している恐れが高いと言われています。早期に専門医の診察を受ける等の対応が必要でしょう(最大血圧が平常範囲の場合、気にする必要はありません)。


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高血圧の恐さは、動脈硬化にあり

高血圧の恐ろしさは、放置すると血管に加わる圧力が高まって動脈が硬くなり、血流が妨げられる「動脈硬化」になることです。


そして動脈硬化の進み具合も、普通の人よりも10年早いといわれるスピードで進行します。



その結果、動脈硬化が起きる場所にもよりますが、狭心症や心筋梗塞・脳梗塞や脳出血などの、致命的な病気を引き起こす可能性が大きく高まります

かりに脳への障害が軽症であったとしても、小さな梗塞(血管のつまり)が脳にできることによって認知障害につながる場合などもあり、発症後の生活の質を大きく下げる恐れもあります。


また高血圧は、「糖尿病」と非常に合併しやすい症状です。

高血圧の方が糖尿病になる割合は、そうでない方がかかる割合に比べ約3倍高い、という調査結果もあります。

(糖尿病については、関連サイト 糖尿病 3分で知る症状・治療・予防 をご参照ください。)


ほかにも「眼底出血」や、あるいは腎臓が影響を受けることによる「尿毒症」などを併発する場合があります。

また、高い血圧に逆らって働く心臓に負担がかかり、心筋が肥大することによる心不全を起こしやすくなります。


以上のように高血圧の恐ろしさは、「血圧の高まりによって動脈硬化を合併しやすくなる」点にあります。

血管が疲弊することによって、「脳や心臓などの重要な臓器にある日突然、致命的な病状がもたらされる可能性が高まる」ことにある
と言えるでしょう。


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高血圧の予防=生活習慣病対策



年齢を重ねるごとに血管もまた老化するため、血圧はどうしても高くなっていきます。

そのため「もう年だから血圧が高いのはしかたがない」とおっしゃる方も多いのですが、それは決して「その状態を放置したままでよい」ということではありません。


加齢による血管の老化自体を防ぐことはできないにしても、生活習慣を改善することによって、血圧が高まるリスクを下げ、高血圧を予防する生活を実現することは可能です。

つまりは、「生活習慣病を防ぐ生活を心がける」ことです。



具体的には、以下のような点がポイントとなります(なお高血圧の食事療法については、関連サイト「高血圧に負けない食事~食事療法のツボと効く食材」」をあわせてご覧ください)。




・塩分の摂取を減らす。

減塩は高血圧の治療においてもっとも重要とされ、食事療法として必ず実施されます。

高い塩分の食事をとることは血液の量を増やし血管を収縮させるため、血圧の上昇につながります。


遺伝的ないし体質的に塩分を身体にためこみやすいか否か、いわゆる「食塩感受性」によっても、高血圧のなりやすさについては違いがあるとされます。

食塩感受性高血圧」の人は、全体の30~50%程度ともいわれますが、いずれにせよ歳をとるにつれて、多量の塩分を摂ると血圧が上昇しやすくなることは確実です。


高血圧の治療においては、塩分の摂取量は一日6グラム未満が求められています(日本人の一日の平均塩分摂取量は11~12グラム程度ですから、非常に厳しい目標であることは確かです)。

一日6グラムの減塩によって、最高血圧は5mmHgも低下するとのことで、「減塩は降圧剤の服用と同じくらいの効果あり」とすら言われるくらいです。


日々の塩分摂取量をなるべく正確に知りたい方は、「塩分摂取量簡易測定器(早朝に自分の尿を摂取し計測することで、手軽に前日の摂取塩分量を把握できる)」も市販されていますので、利用を検討してみるとよいでしょう。


運動


・生活習慣の改善をはかる。禁煙・禁酒ないし節酒・減量と運動を。

たばこのニコチン・一酸化炭素は動脈硬化を進行させて血圧を高めるため、高血圧のみならず生活習慣病全般の罹患を防ぐためにも、「禁煙」を強くおすすめします。


飲酒も時々ならOKですが、毎日のように多量にともなると、高血圧となるリスクを高めるといわれています。

また、問題は酒の種別ではなく「体内に入るアルコールの総量」になります。

せめて禁酒日を設けるか、一日の飲酒量を減らしていくように心がけましょう。


肥満によって血圧が上がる理由は、複数に渡ります。

太るとインスリンの作用が表れにくくなるために、血液中のインスリンが増加して血管が収縮することや、あるいは腎臓が塩分を貯めこむことによって循環する血液量が増え、血圧が上昇する点などが指摘されています。

いずれにせよ肥満の解消は、主に定期的な運動によりもたらされます

血圧の正常化のみならず、心筋梗塞や高脂血症など生活習慣病の発症リスクの低下にもつながります。


理由がはっきりと解明されたわけではありませんが、高血圧の人が減量をすると血圧が下がることは、実証的に確かめられています。

1キロの減量によって、血圧はおよそ4mmHg下がる」との試算もあるので、肥満の人はこれを目安として、減量目標を設定するのもよいでしょう。

ちなみに運動とあわせての適度な心身の休養も、ぜひ心がけたいものです。


・厳寒時など、外的環境の急激な温度変化には注意(ヒートショック)。

冬場の厳寒時に暖かい室内から冷えきった浴室へ移動したり、戸外の除雪作業などで寒い場所に長時間いたことによって、急激な温度変化が血圧の急上昇を招いて意識喪失や心筋梗塞などを起こす、いわゆる「ヒートショック」があります。


年間で1万人以上が亡くなっており、とりわけ高血圧の高齢者は注意を払うべきです。

温度差が大きい場所へ移動する時は、事前に服装や室内を暖かくするなどの対策を忘れぬようにしましょう。



そして最後に、現代社会ではなかなか難しいことではありますが、一時的ながら急激な血圧の上昇をもたらす「精神的な緊張やストレスを避ける生活を心がける」ことも、とりわけ健康診断などで血圧が高めと診断された方にとっては、大切な高血圧の予防策となることもおぼえておきましょう。


(なお、低血圧に関する情報につきましては、関連サイト 「低血圧の症状~改善・解消のための対処法」 をご参照ください。)



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